佛性論(23)巻第一      天親菩薩造 真諦訳

        破執分第二中破外道品第二

 

 

 また次に破僧去の義を應に知るべし。

内に曰く。汝の義に云えるに、聲に自性有りて自性異ならざるが故にとは、この義然らず。何を以っての故に。

 若し聲に自性有らば即ち聲應に耳の為の本なるが故に。

聲これ耳、耳即ちこれ聲と説けば、説くべき自性は即ち聲にして聲は即ち自性なり。

耳即ちこれ聲なるを許さざれば、亦汝の聲即ち自性なるを許さざるなり。

汝、聲はこれ聞かれるものにして耳は爾らずと説くは、この義然らず。何を以っての故に。

 汝の聲、耳と一と為るや異と為るや。

 汝、聲はこれ聞かれるものにして耳と異なると説けば、已に聞かれるが故に自性も亦異ならん。

 聲と耳と異ならざると説けば、何故に聲能く耳を聞くと説かざるや。

汝、得すること耳の如きと説くは、これ亦然らず。何を以っての故に。

 聲滅する時、耳も應に倶に滅すべし。聲、耳これ一なるが故に。

 耳、聲の一となる物の成らざる例の如く、余の成る、成らざるも亦爾るが故に知るなり。

諸法に決して自性無きことを、悉く皆これ空なることを。