佛性論(25)巻第一 天親菩薩造 真諦訳
破執分第二中破外道品第二
また次に、自性各々自ら同じからずして相い壊れるが故に。
譬えば事を作すに後に事成し終われば、前の事即ち壊れるが如し。火の水の為に滅するが如し。
若し一切の法に各自性有らば何ぞ能く相い滅するや。
汝、若し自性無ければ即ち火と薪と異なるを得ざると説くは、この義然らず。何を以っての故に。
能く異ならざる所の多くの過失有るが故に。若し一と異ならざれば、何ぞ能く火と薪の二物の有るや。
亦可なりと説くと言えば、薪の能く照らすと為すや、火の照らす所と為すや。若し爾らざれば即ち汝の義の本より立てる一は成ぜざるなり。
外に曰く。汝火の一異を離れるを説かば、如何が火より因縁の生ずるを説くのや。
内に曰く。薪の中の色等の五塵、これ時に薪を成ぜざるが如く、即ち一時に並びに熱性を成ずるが故に、四大四微等の八物皆一にあらず異にあらざるなり。
若し冷熱等の八物一異なりと言わば、この義然らず。何を以っての故に。
これ一ならば冷應に熱に至るべし。即ち常見に堕す。異なると言わば、空を聞きて而も生ずるは即ち冷を縁じて熱を生ずる断見なり。故に異ならば應に八火有るべく、火に八火有らば、一火の生ぜざること並びに前に説くが如し。
この故に諸法悉く縁に依りて生ずるなり。何を以っての故に。