佛性論(24)巻第一      天親菩薩造 真諦訳

        破執分第二中破外道品第二

 

 

 汝の説く証量いかにも成ずるは、この義然らず。何を以っての故に。

 今我が立てる証量、二空を顕了するは諸法空の故に自性不可得にして、幻事、幻物は証量を見るが如くなり。

 實有の如くにあらざる諸法を見ることも亦爾り。見る所の如くにあらざれども見る所有るは、実にあらざる體に由るが故に、証量に由ること有るにあらざるが故に、體無きに由ること無きにあらざるが故に、空の義成ずるを得れば証量を以っての故に仮に有ることを失なわざるなり。

 

 また次に一切の諸法、自性有ること無し。何を以っての故に。因縁に依りて生ずるが故に。

 譬えば火の他に依りて生ずること、薪を離れては見るべからざるが如し。亦蛍火の如き、若し火に自性有らば即ち薪を離れて空中に應に自ら燃えるべし。

 自ら燃えること有らば即ち應に燃具を離れて為に更に事を生ずべし。即ち火を用いるを有ること無くして事無きを成ぜん。

 一切の諸水の能く滅するにあらざる所、汝自性有るを説くが故にこの故に滅すべく、

自性無ければ幻の火を化すが如く實性有ること無ければなり。

 

 対治無きが故に水の能く滅するにあらずと説くは、この義然らず。何を以っての故に。

 汝を責めるに、此の火、本より性有ると為すや、是れ性無しと為すや。

本より性有らば、末も亦これ有り。本末既に有らば即ち應に是れ常なるべく、應に滅すべからざるなり。